新潟FC研究会中間報告

「フィルムコミッション〜まちづくりの新しいツール〜」

発売中!

(A4判、54ページ、配布価格300円)

 新潟でフィルムコミッション(FC)の設立を目指す新潟フィルムコミッション研究会(新潟FC研)はこのほど中間報告をまとめ、発行しました。

 中間報告はFCの定義や全国の状況、新潟におけるFCの目指すべき方向などをまとめてあります。新潟だけでなく、FCをつくりたいと考えるすべての関係者の“バイブル”となる1冊です。ぜひご購入下さい!


中間報告の概要

はじめに

 映画などのロケーション撮影を地元に誘致し、協力する「フィルムコミッション(FC)」という組織が、全国的に注目を集めています。
 「FCとはどういうものなのか、新潟にも必要なのか」こんなテーマを話し合うことを目的に、行政、民間団体、一般市民等による「新潟フィルムコミッション研究会」が2001年8月20日に発足しました。この中間報告は、2002年2月4日の第8回会議までの話し合いをまとめたものです。度重なる議論の末、私たちは、FCを「新しいまちづくりのツール」と位置づけ、「新潟におけるFCの必要性と組織のあり方」を中間報告として問題提起をすることにしました。

1.FCとは何か

 FCとは、映画やテレビドラマ、CM、写真などのロケーション撮影(以下ロケ撮影)を地元に誘致し、支援活動をする非営利団体のことです。ロケ撮影を希望する国内外の制作会社・団体の相談窓口になり、ロケ対象施設・風景の紹介や施設管理者との借用交渉、宿泊先の紹介、エキストラ募集などについてワンストップサービスを提供する組織です。
 1940年代後半に米国・ロスアンジェルスに誕生したこの組織は、ロケ撮影の需要増加に伴い各国各地域で相次いで設立されるようになり、現在では300組織の世界的なネットワークが形成されています。我が国では、大阪が2000年2月に立ち上げたのを皮切りに2年足らずの間に17の地域にFCが設立されており、新潟県でも2001年12月に妙高高原町に県内初のFCが設立されています。
 既にFCを立ち上げた地域では、(1)撮影隊の滞在に伴う経済効果、(2)街の賑わい創出、(3)街のイメージアップ、(4)観光集客力強化、交流人口増加、(5)映像産業・芸術の振興などを地域にもたらす効果として期待しているようです。

2.通説への疑問と解決へのアプローチ

 しかし、FCの地域への効果については、私たちの間でも「経済効果なんて本当にあるのか」、「撮影隊の存在が地元にとって迷惑になることもある」など、疑問の声も少なくありませんでした。
 実際、先に掲げた効果の度合いは、撮影側の資金力、作品の訴求力に左右される部分が少なくなく、当たりはずれがあることは否めません。しかしその一方、1998年に新潟県内で撮影が行われた映画「白痴」のように、参加した多くの人々に言いようのない感動を与えてくれた「映画の力」を私たちは体験しています。
 こうした事柄を考えていくうちに、私たちは、FCを、外部からの経済的利益を短期的に追求するための組織と捉えるのではなく、映像を通じた交流をきっかけに地域が持つポテンシャルや活力を高め、それを経済・文化の発展につなげていく「まちづくりのツール」として位置づけるべきではないかと考えるようになりました。

3.フィルムコミッション〜新潟のまちづくりへの新しい視点〜

 そこで今一度、新潟の現状と将来像を検証し、そこでFCが果たしうる役割について捉え返してみることにしました。
 新潟市は、本州日本海側最大の都市であり、サッカーW杯の開催や万代島エリアの開発により、「国際会議都市」及び「政令指定都市」の実現を目指しています。それは、新潟が、国内外の人々と交流交際するための「器」(ハード)と「企画・演出力」(ソフト)と「もてなしの心」(ハート)を持った都市となること、また日本を代表する都市の一つとして「まちのブランド力」を高めることを私たちに求めているのではないでしょうか。
 FCは「映像制作とそれを通じた域内外の人々との交流拡大」をサポートするものですが、その活動は、交流交際の「ソフト」と「ハート」を錬磨するものであり、映像によって身近な風景に物語性が付与されることは、まちのブランド力強化にもつながります。また、撮影という非日常的世界を直接間接に体験することによって、人々の精神や好奇心が刺激され、映像制作の熱気に市民が触れることで、自ら創作活動に打ち込むなど、文化的な活性化が考えられます。さらに経済的にも、撮影隊の滞在がもたらす宿泊・食事代などの直接効果に加え、上映(放送)が新潟来訪の動機付けにつながるなどまちの活性化に寄与することが期待されます。以上の点から、新潟においてFCを「まちづくりの新しいツール」として活用してみる価値は十分あると考えられます。

4.新潟フィルムコミッション設立に向けて

 他地域のFCは、行政がまず設立し、市民に協力を呼び掛ける例が多くみられますが、新潟のFCは、多くの市民・企業が映画「白痴」や「阿賀に生きる」など住民参加型の映画制作を経験し、映像制作や交流が活発であることなどを踏まえ、設立時から市民が主体となり、民間企業、行政が積極的にバックアップする体制をつくるべきと考えます。
 FCが地域として撮影を受け入れる機関である以上、行政の関わりなしに機能しないことは言うまでもありませんが、民間企業の営業努力がロケ誘致の決め手になるケースもあり、また撮影に際してはエキストラや現地採用スタッフ・役者などの出番も多いことから、三者の連携こそがFCの機能を効果的に発揮するカギになると考えます。

おわりに

 FCの一義的な効果は「さまざまな結びつきが生まれる」ことだと思います。そして「結びつき」が「新たな結びつき」をもたらすという繰り返しによって、まちが面白くなり、そこから本当の経済効果や観光効果が始まるのです。
 まちを面白くし、経済の活性化につなげていくために、いま新潟も動き出すべき時期に来ているのではないでしょうか。


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