99.4.24


思いは実現できる!

市民プロデュース考座

「白痴」の古澤氏ら招きシンポジウム

 

 「思いは実現できるか?」をキャッチフレーズに、市民手づくりの文化イベント実現の手法と問題点を探る『映画「白痴」と市民プロデュース考座』が4月17日、新潟市民芸術文化会館のスタジオAで開かれた。以下、当日の模様をレポートする。(レポーター・飯島直美)

写真=基調講演をする古澤敏文氏

 講演とシンポジウムの2部形式で行われ、観衆は約50人。第1部では、98年夏に新潟で撮影され、このほど完成した映画「白痴」(手塚眞監督)のプロデューサー・古澤敏文氏が「映画『白痴』にみる企画から実現までのプロセスについて」をテーマに、主にプロデュースの面から話をした。

 古澤氏はまず「企画を現実のものにするには、まずその第一段階である企画自体をしっかりと明確なものにするべきだ」と語った。

 「企画を実現する過程の中では、個人の力には限界がある。例えば資金の面で行政や企業などからの援助を望む場合や、実行にあたっての協力者、支援者を募るためには、その企画に共感・賛同してもらうことが必要となってくる。そのためにも、企画の立て方は重要であり、その内容・質・方向性をしっかりと見極め、「目的」「対象」「予算」の3つの観点から何度も企画をつめていくことが大切である。そうすることで、企画に意識付けがなされ、そのコンセプトが明確になっていく」。古澤氏はチャートや資料、プロデューサーとしての経験などから、わかりやすく説明した。

 「白痴」の場合は「新潟でつくるにあたり、『白痴』を映画を超えた大きなものとして考えた。普通の映画の撮影では事故などを防ぐために一般市民を排除するが、今回は現場に市民を入れることで、子供を育てるような愛情を市民一人ひとりに抱いてもらった」と言う。

 また、芸術活動に対して市民一人ひとりが資金援助をする「アートサポーターズ」の呼び掛けや、オープンセット建設、エキストラ協力などを通じ「新潟が大きな文化活動のバトルスペースとして機能しているように感じた」とも話す。

 こうした体験を通じて「地方での文化活動は、行政や企業からの支援を拠り所としがちな面があるが、むしろ主体的に集まった人々の相互扶助の体系をつくりあげることが必要。『白痴』は終わったが、新潟にはその土壌が培われている。この地域から文化を発信する力も十分に持っている。これを大切にして、まずは個人レベルでもいいから第一歩を踏み出すことが、この土壌を生かすことになる」と提言、講演は締めくくられた。

  

写真上=左から高橋、古澤、武内の3氏

同下=左から江口、五十嵐両氏

 

 

 第2部はシンポジウム。古澤氏に加え、舞台音楽で活躍する高橋建造氏(「スタジオ・ナッツ」主宰)、子供を対象にしたイベントを行う武内裕子氏(「キッズ・ユニファー」代表)、お笑い集団を率いる江口歩氏(「NAMARA」主宰」)、にいがた映画塾の五十嵐政人氏(事務局長)ら、新潟の様々なジャンルでプロデュースに関わっている方々をパネリストに迎え、観客も一体となって企画実現についてのディスカッションが行われた。

 コーディネーターの高橋氏からまず「プロデュースとは?」という質問が出された。「採算合わせの役割」「主催者/企画者として二役こなすこと」「あそび」「プランナーであり、みんなに注目される環境づくり」「その企画を進めきって、第一歩をスタートさせること」とそれぞれの立場からの答えがあり、さらに「お金(商業性)について」、「『質』の追求と現実とのギャップ」、「そのイベントを見に行く『客』側の動機」、「プロデュースの成功とは?」などについて、各々が関わった企画、体験を交えながら、様々な方向から意見を出し合った。

 

 このシンポジウムを通じて感じたことは「何かをしよう!」と思ったら、企画からしっかりと立ち上げれば「考え」を実現することは可能だということだ。

 今、新潟では、何かをするのに人と人の繋がりや、よい空気が生まれていると思う。

 事を起こすのは実際にはさほど難しくないのではないか。


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