99.10.08


映画が街にやってきた

―「白痴」制作・新潟の2000日物語―

「白痴」の記録編纂委員会編

新潟日報事業社発行

定価1500円(税込)四六判、275ページ

 

本のご案内

新潟の「白痴」インサイド・メイキング!

 映画「白痴」の制作ドキュメントが完成しました!

 といっても、この本は手塚監督ら「白痴」の「つくり手」によるメイキング本ではありません。協力を求められた新潟側から見たメイキングです。

 手塚監督は1988年に「白痴」の映画化を決意し、東京で出資先を探しましたが、7億円という制作費や、難解だといわれる小説「白痴」の映画化に対し、名乗りを挙げるスポンサーはなく、いわば東京に見捨てられた企画でした。いろいろなつてを頼って、手塚監督は安吾の出身地、新潟市で協力者に出会い、制作費の半分、3億5000万円を新潟で集めることとなりました。

 でも、新潟でも行政、企業の反応は鈍く、1億円はおろか1500万円も集まらず、新潟での資金集めは完全な失敗に終わったのです。

 その一方、ボランティアなど個人の思いは熱いものがありました。新潟市の新潟県庁近くに建てられた広大なオープンセットに引きつけられるように、エキストラも含めて新潟からは1000人近くが無報酬で協力しました。

 また、市民に映画のつくり方を教える「にいがた映画塾」、市民の文化活動を市民が資金を出して協力する「アート・サポーターズ」、映画の世界にあこがれる全国の若者を集めて撮影現場で教育する「映像十字軍」など、「白痴」は単なる商業映画制作にとどまらない「文化運動」の展開も見せました。

 撮影終了後、映画塾やボランティアなど、さまざまな形で「白痴」に関わった人たちで、「白痴」の記録を本に残そうということになりました。編纂委員会のメンバーは、それぞれが見てきたこと、感じたことを持ち寄ることから始まり、手塚監督をはじめ「白痴」の元スタッフら50人以上の関係者へのインタビューなども行いました。自分たちの失敗は率直に認め、喜び、悩みを正直に描くことで、この映画が新潟にもたらしたものの全体像を描こうとしました。その過程で、現在の日本映画を取り巻く状況が自ずと浮かび上がってきました。

 「白痴」に関わった動機、資金集めの苦労、さまざまな騒動、映画の現場に立ち会う喜び、不安など、まさのその場に立ち会ったからこそ感じる息づかいがこの本にはあふれています。

 また、資料編では「白痴」のPR紙だった「HAKUCHI通信」全号の縮小版、映画完成までの年表、「白痴」新潟の関連名簿なども掲載しています。

 「白痴」のドキュメントとして楽しめるだけでなく、これからの地域文化のあり方のケーススタディとしても示唆に富む一冊です。

 なお、映画塾会員は特別料金で販売しています。詳しくは下記のメールでお問い合わせ下さい。

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