99.10.19


「白痴」新潟に“帰郷”

プレミア試写会に800人来場

手塚監督「世界に誇れる新潟の映画」

写真=ゲストの橋本麗香さんと舞台あいさつする手塚監督

 映画「白痴」の一般向け新潟初上映となるプレミア試写会(BSN新潟放送、新潟日報社主催)が10月18日夜、新潟市民芸術文化会館で開かれた。新潟での撮影に関わったボランティアやエキストラのほか、一般応募で招待された観客の計800人が訪れ、ゲストの手塚眞監督らを拍手でたたえた。手塚監督は冒頭のあいさつで、9月のヴェネツィア映画祭で「白痴」が「ザ・フィーチャー・フィルム賞」を受賞したことに触れ「この映画は世界に誇れる新潟の映画です」と、98年夏、この映画に関わった多くの新潟の人たちをねぎらった。(レポーター・星龍雄)

 いよいよ新潟で「白痴」が上映される。上映日程が明らかになり、その日が近づくにつれ、新潟での「白痴」の上映は日に日に高まった。テレビで試写会の招待の告知がされたところ、定員400人をはるかに超える13000人もの応募があった。試写会当日はいい席で見ようと、午後4時ごろには既に観客が並び始めた。

 

写真=開場とともにいい席を取ろうとどっとなだれ込む観客

「白痴」は98年5月から8月まで東京でのスタジオと桐生での撮影を除き、新潟のオープンセットなどで多くが撮影された。ボランティアやエキストラなど、関わった人は1000人近くに及ぶ。そのため試写会会場のロビーは、撮影現場で一緒だった人たちが1年ぶりの再会に喜ぶ姿などが見られ、同窓会のような雰囲気に包まれた。

 満員となった観客の前で手塚監督があいさつ。「ヴェネツィア映画祭での記者会見で、『空襲のシーンのフィルムはどこで入手したのか』と聞かれました。本物の実写フィルムだと向こうは思ったようなんです。実はすべてつくったものだと言ったら驚かれました。力のある素晴らしい映像だと評価されました。この映画でエキストラのメーキャップをしたのも新潟の人たちです。素晴らしいセットの建設も新潟の人たちが手伝った。この映画は間違いなく新潟の映画です。その作品が世界的に評価された」。手塚監督は晴れ晴れとした表情で語りかける。「この作品の出来は120点。100点満点を超えたのは、もちろん皆さんのおかげだからです」と声を張り上げた。

 当日はプロデューサーの古澤敏文氏と、銀河役の橋本麗香さんも舞台に立った。古澤氏は「新潟で4年ぐらい映画化の活動を続けてきたが、その場に関わった方や、本日この日のためにハガキを書いてくださった方それぞれにスタッフを代表してお礼を申し上げたい」と話した。また橋本麗香さんは「私は東京のスタジオでの撮影が中心だったが、この映画は新潟人たちの力が非常に大きいと聞いている。セット撮影と新潟での撮影の対比をぜひ見てほしい」とにこやかに話した。

 上映後、観客から大きな拍手が一斉に鳴り響いた。手塚監督は「ヴェネツィアでの拍手より長い」と感慨深げだった。また「あの時の撮影がこんな素晴らしい映像になっているなんてびっくりした」「あの夏の思いがよみがえってジーンときた」など、元ボランティアならではの感想が聞かれた。撮影現場にはいなかった人も「空襲シーンは迫力があった」「こんな素晴らしい映画が新潟から生まれるなんて驚きだ」などの賞賛の声が出た。安吾ファンからは「原作と全然違って驚いた」と言う意見や「うーん、一度見ただけでは分からないのでもう一度映画館で見たい」と話す年輩客の姿もあった。

 

写真=「『白痴』と私フォトコンテストで『みんなの思いが伝わったで賞』を受賞した武藤ちえりちゃんの表彰式で、ちえりちゃんと握手する手塚監督と、受賞作品のちえりちゃん(写真下)。ちなみに写真のひと言メッセージ「初めは真っ黒の顔がイヤだったなあ。でもいつもは服や手足を汚すとお母さんに怒られるけど、今日はもっと汚しなさいだって。なんか楽しくなってきちゃった」

 1年前には新潟で姿も形もなかったものが、1年後大きくなった姿で再び“里帰り”した。「白痴」は作品のすばらしさ以上の感動を新潟の人たちに与えたようだ。「白痴」は10月30日から新潟・市民映画館シネ・ウインドと新潟松竹で全国に先駆けロードショーされる。初日は手塚監督が再び来訪し、新潟松竹では午後1時半の上映前に、シネ・ウインドでは午後2時半の上映前に舞台あいさつが行われる。また当日、ウインドでは午後8時半から特別イベントが行われ、ボランティアを交えたトークや手塚監督の新作「実験映画」(永瀬正敏、橋本麗香主演)も上映される。


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