第3期第9号(98.6.28

自我と自我のぶつかり合い

監督、脚本選出で産みの苦しみ

「田巻組」「真保組」「南組」が誕生

 「第3期にいがた映画塾」第8回は6月28日、新潟市万代市民会館で本撮影(7月19、20日)準備と16ミリ撮影講座を行った。3班が監督とシナリオ第1稿を選出する課題が出されたが、話し合いは難航。自分の書いてきたシナリオへの愛着や、映画への考え方の違いから、まさに自我と自我のぶつかり合いとなった。

 同会館では決着が付かず、「白痴」制作準備室に場所を移し7時間以上に及ぶ激論を行う班もあった。その結果、前回までの安藤企画班は弱冠16歳の田巻源太さん、星野企画班は32歳の真保巌さん、南企画班は企画者と同じ南由佳子さんがそれぞれ監督に選ばれた。

 プロの映画現場の呼び名にならい「田巻組」「真保組」「南組」と名付けられた各組は講義の日以外にも打ち合わせを重ね、本番に向けて膨大な準備を続けることになる。

 午前中は、第2回で撮影入門を担当した小林茂氏(「阿賀に生きる」撮影監督)が全員に16ミリカメラの使い方を教えた。小林氏は本撮影で使う「キャノン・スクーピックMN」と「アリフレックス16ST」を前に構造やフィルムの装てん方法、フィルム(コダックVision320T)の説明、露出計の使い方など実践に即した知識を受講生に教えた。

 午後はナシモト・タオ氏が各組の中で分かれる「演出部」「撮影部」「制作部」の3つのパートについてそれぞれの重要性を講義した。

 小林氏とナシモト氏が講義をしている間、もう一人の講師、鈴木卓爾氏は全員が書いてきたシナリオすべてに目を通した。その上で各班ごとに監督、シナリオ選びのためのディスカッションに入った。

 話し合いという「民主主義的」な手法は映画制作にはなじまない。そのため講師・スタッフ側は分裂の危機も想定したが、やはり各班とも複数の監督希望者が名乗りを上げ「どうしてもやりたい」「あなたには絶対監督はやらせない」など、感情的なぶつかり合いがエスカレートした。自分の書いたシナリオが外されていく悔しさも混じり合い、複雑な空気が流れた。

 それでも時間がたつに連れ、自然と仲裁・まとめ役が各班の中から生まれ、なんとか監督が決まり、各パートの担当分けも進んだ。午後2時から始まった話し合いは延々と続き、午後9時過ぎまでかかったところも。

 シナリオは7月5日までに「決定稿」を仕上げることも確認した。ただ、本撮影の制限時間では不可能な「長編」もあり、決定稿までにはさらに紆余曲折がありそうだ。

写真上=自らの体を教材に、露出計の使い方を受講生に教える小林茂氏(中央)

写真下=「白痴」制作準備室に場所を移し、鈴木卓爾氏(中央下の背中)も加わって話し合いを続ける受講生

 


講師の感想

小林茂氏 学校教育でここまで激しい議論をするだろうか。そういう意味でみんなの話を聞いていて楽しかった。本撮影は10分。荒削りでもいいから光るものを一つだけフィルムに残してください。撮影部はキャメラを抱いて寝るぐらいでないと思うような画を撮れないよ。

鈴木卓爾氏 しんどかった。民主主義と映画づくりは水と油。話し合いで監督を選ぶのはどうしても無理がある。でも(この監督に)決まるべくして決まったような作品ができあがってほしい。選ばれなかった人は悔しいでしょ。悔しかったら自分で撮りなさい。本撮影も立ち会いたいな。 


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